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新胡桃さん
Interview 09
第32期生 / 2022年卒業

新 あらた 胡桃 くるみ さん(筆名)

多摩美術大学美術学部 絵画専攻油絵学科在学中
小説家
※業種・職種等は取材当時のものです

自分にしっくりくる努力をする
自分にこだわり見つけたものは

仲間との出会いから始まった学校生活

中1から約2年、不登校の期間がありました。担任の先生の手厚いサポートと、気の合うクラスメイトができたことなどがきっかけで不登校から復帰して、中高生活を楽しみました。中学では演劇部、高校からは美術部に所属しています。

新胡桃さん

在学中、色濃く覚えている記憶は、計算コンテストや英単語コンテスト、また古文の語彙のテストなど、一見スパルタ風だけれど仲間と楽しく切磋琢磨できた各教科の小テストのことです。あの時は辛くて地味だと思ったけれども、今思うと定期的にテストがあることで、コツコツ努力を重ねる根性が身についた気がします。それは今でも生活の役に立っています。

また特筆すべきこととして、私達の学年から一人一台のタブレットPCが導入されたこと(2018年)です。加えてコロナ禍のピークと高校時代が並行していたので、生徒たち、もちろん先生方も、それぞれがイレギュラーな状況だったのではと推察します。いかに勉強も楽しみも課外活動も充実させていくか、自力でまず調べること、周囲と協力すること、まとまった考えを実行する力が充分に試されました。特に出席番号の奇数偶数で登校スケジュールが異なる時差登校や独自のリモート授業などは新鮮でした。

文化祭用の動画作成も忘れられないエピソードです。生徒約200人によるリモート制作の「恋ダンス」。一人ひとりが自宅で踊った映像を編集し、一つの動画に。思い返してみると、みんな真剣かつ健気ですし、微笑ましいけれどやはり少しおかしく、今でも同期との会話でも頻出の話題です。
恋ダンス:2016年放送のドラマのエンディングで出演者が踊ったダンス

— 新 胡桃さん

小説家であり受験生であり

新胡桃さん
新胡桃さん

高校からは美術部に3年在籍しました。元々、自己表現として文章を書くことや絵を描くことが好きだったので、私は外部のコンテストや公募に関する情報を高校1年生から頻繁に調べていました。筑波大学主催のアートライターコンテストに入賞したことをきっかけに、美大受験を決めました。純文学の新人賞である「文藝賞」の最終候補に残ったという知らせをいただいたときには、ちょうど通っていた美大受験予備校で作品に取り組んでいる最中でした。

 
新胡桃さん
第57回文藝賞優秀作『星に帰れよ』(河出書房新社)

小説家としてデビューすると同時に、受験生生活が始まりました。神大附属に通いつつ、夕方から夜にかけて美大専門予備校で油画を学び、隙間時間で2作目の小説の執筆をする日々は、信じられないほど全力の毎日でした。美術部の顧問や先生方の協力もあり、高3の空きコマ時間に美大志望の仲間とドローイングや執筆をしていたのも懐かしいです。

(文藝賞優秀作『星に帰れよ』について)

「自意識の中に逃げ込まず、戦う主人公と著者の姿勢に胸打たれた」(島本理生氏)「時代は変わった。対人関係における意識の鋭敏さ、自己の客観視の強さに驚かされた」(穂村弘氏)

— 選考委員の選評/河出書房新社「Web河出」より

私らしさを育むことができた神大附属

新胡桃さん
 
新胡桃さん
2023年1月刊行『何食わぬきみたちへ』(河出書房新社)

人と比べて勝手に落ち込むことや妬むことはまず不毛だし、仲間たちに失礼だ、という私自身の観念も神大附属で育まれた気がします。私はまず偏差値のはかれない美術系の進路でしたし、同期の多くの友人とは少し異なるルートでキャリアを積み上げている段階ですが、自分の出来ない・分からないことへ取り組む人を常にリスペクトしていたい、というポリシーが今でもあります。

高校生活の3年間は、渾身の努力をしているつもりでも「当たり前」の振る舞いや勉強をこなせない、そんな己の性格に強いコンプレックスがありました。しかし友人や先生方と関わり合ううちに、得意・不得意や信念も含めて、やはり自分はより良い自分になるしかないのだと気付いて、やがて高校生活を楽しむようになりました。結局、自分にしっくりくる努力をすることが肝要でした。

最後に、在校生に伝えたいことですが、自分の信じたことや向いていること、関心分野だけは諦めずに頑張ると、絶対に良いことが待っていると思います。優秀な仲間に囲まれて自分自身を見失いそうな時もあるかも知れませんがどうか人と比べ過ぎず、健やかに頑張ってください。

とにかく人と能動的に関わること、それが難しくても関わるために努力すること。正しい方向へ己の自己顕示欲を伸ばしてあげること。神大附属の友達も先生方もおよそ優しかったので、私が私らしさを育むことができたのだと思います。

— 新 胡桃さん

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