母がピアノ講師だったこともあり、幼い頃から音楽が身近にある環境で育ちました。小学生の頃にはピアノやギターに触れ、洋楽のロックからクラシックまで幅広い音楽に親しみ、音楽は特別なものというより、日常の一部として自然に存在していたように思います。
神奈川大学附属中・高等学校には第5期生として入学しました。当時から音楽部ではオーケストラ活動が盛んでした。しかし、私は弦楽器の経験がなく、「自分が足を踏み入れてよい世界ではない」と感じ、強い憧れを抱きながらも一歩引いて眺めていました。その代わり、水球部や放送部(当時)を経験し、最終的には理科部生物班に所属します。
理科部では、ウーパールーパーのキメラ個体の飼育、植物ホルモンを用いた無菌培養、クラゲの飼育、貝類の標本制作など、さまざまなテーマに取り組みました。一つのことを極めるというよりも、興味を持ったことを自由に探究し、好奇心のおもむくままに研究に没頭していました。
そんな私が弦楽器と出会ったのは、音楽の授業でした。音楽部のヴィオラに触れさせてもらったことがきっかけです。美しいフォルムや手触りに、強く心を奪われました。一方で、「弦楽器は幼少期からの積み重ねが重要だ」という話も耳にしており、演奏者を目指すことは気おくれしていました。それでも弦楽器への思いを諦めることができない私は、演奏者ではなく、製作する職人を志すことを決意しました。