中学では生徒会長、高校では副会長を務め、多くの先生に相談にのってもらい、ご迷惑もかけながら、いろいろな活動をさせていただきました。銀杏並木のアーチを企画・提案し、設計まで生徒会で行ったり、校則を変えたこともありました。生徒が各々やりたい活動をもっとできるように、下校時刻の30分延長を実現したんです。今の生徒さんは最初からその30分を享受しているわけですが、私たちの代の遺産です(笑)。もともと私は、おとなしいタイプの生徒だったんですが、こうした執行部での経験を通じて、チームをまとめたり、どんどん人前で話せるようになっていきました。振り返ると、6年間が社会に出る前の予行演習になったんだと思います。

部活動は、美術部に所属していました。そこで創った作品を、顧問の先生に勧められて企業の公募コンクールに出品し、世の中で認められそうになったことは、自分にとって今でもインパクトのある思い出です。何かしらの自信につながった気がします。ほめられたり自信を持つことは、怒られるより生徒の力になると思うのですが、神大附属の先生方は、いつもさりげなく的確なアドバイスをくださって生徒の力をうまく伸ばしてくれていたんだな、と今考えると分かります。ただし、あまりにも間違ったことや非常識なことに対しては、厳しかったですけどね。

神大附属のリゾース・ティーチャー(進路指導の一環として、生徒が社会人から仕事について話を聞くプログラム)をしている関係で、今でも時々学校に足を運んでいます。訪れる度に、新しい試みが始まっていたり、新しい施設や設備がつくられているのには感心しています。

一方で変わらないなと思うのは、のびのびとした雰囲気。これはやはり神大附属ならではの魅力ですよね。やさしい先生と大勢の仲間に囲まれて、やりたいことに取り組んでいる。それは今の生徒も同じなんですね。生徒会を見ると、私たちの時代に比べて、やっていることのレベルはずいぶん高くなっているようですが(笑)。

また、中高一貫校だからこそ生徒同士のつながりも強くて、それも自主性を育む環境を支えている気がします。実際、私もいろいろなことに挑戦した時、友人たちに大いに助けられたものです。環境が人に与える影響は大きいと思いますし、特に友人の影響は大きいと思います。

教員になった同級生が結構いるんです。その1人が言うには、同僚の先生が精神的に参ってしまうような状況でも「こんなものだろう」と自分はあまり動じないんだ、と。それは神大附属で育って「生徒は無茶を言うもの」「教員はそれに付き合うもの」と刷り込まれているからでしょう(笑)。しかしその友人に限らず、神大附属の卒業生はタフな人が多い気がします。私自身、神大附属で身に付けたもので今役立っていることは、ありすぎて言いきれません。あえて一つ挙げるなら「自分で考える力」でしょうか。できるできないより、まずやってみよう、と本当にやらせてくれる学校ですから、行動力や、どうすればうまくいくかという思考力、判断力が自然と身に付いたんですよね。社会に出ると、こうした力が役立つことを日々実感します。

最近、神大附属は進学校としての人気も高いそうですが、それだけではなく、自然豊かなキャンパスで心身ともに鍛えられるところがおすすめです。今は親の立場として、うちの子供も将来、神大附属に入ってくれればいいなと思っているんですよ。