特色から知る神大附属

時代の最先端を歩み続ける
神大附属の
ICT教育

今回のテーマは「神大附属のICT×プログラミング教育」です。本校は情報化社会にいち早く対応し、開校5年目の1989年から当時のコンピュータ教育をスタートしました。現在では、iPadを1人1台使ったアクティブ・ラーニングや英語のe-ラーニング、ロボットを使ったプログラミング教育など、質・量ともに他校の追随を許さない充実度を誇っています。そんな神大附属のICT教育とプログラミング教育について、考え方や特徴、生徒たちの実績などをご紹介します。

情報教育を通じて 「21世紀型スキル」 をみがく

インターネットが社会の基盤となった現在、情報が瞬時に世界を駆け巡り、私たちの生活も大きく変わりました。このような情報化社会・グローバル社会を生き抜くために必要とされる能力を「21世紀型スキル」といいます。21世紀型スキルには、ICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)力、批判的思考力、問題解決力、コミュニケーション力、コラボレーション(チームワーク)力、自律的に学習する力など10のスキルとして定義されています。
環境の変化や自然災害が起こり、一方で新たな技術が生まれ続ける現代社会では、想定外で答えの見つからない問題が次々と起こっています。そうした問題に対して解決策を提案し、実行できる能力、ひいては「21世紀型スキル」こそが、これからの若者に求められています。神大附属では情報教育を通じて、このような「21世紀型スキル」の向上を図っています。

大切なのは、操作方法を覚える事ではなく、問題解決力を鍛えること

神大附属のICT教育は開校して5年目の1989年にスタートしました。当時はパソコンがまだ軽自動車並の価格だったため、個人で購入する人は珍しく、ほとんどの生徒が授業で初めてパソコンを触ったという状況でした。インターネットが世界を席巻した現在、IoT(Internet of Things)が当たり前になり、AI(人工知能)は人間の能力をはるかに超えていきます。大きな変革の真っ只中にある子どもたちには、ICTを使いこなすだけでなく、ICTを使って問題解決に立ち向かう姿勢や、新しい価値を生み出すチャレンジが求められています。

神大附属ではこうした考えのもと、情報教育をパソコンの基本操作やソフトの使い方の習得に留めず、直面した課題を解決するために、パソコンやインターネットをどのように使えばよいかを考え、理解し、提案し、制作物をアウトプットできる能力の育成を目指しています。そのためにも、生徒たちが主体となったグループワークによるWebサイトづくりや、ロボットを使ったプログラミング教育を大きな柱に据えています。

これらの学習は、テーマ選択から制作スケジュール、調査、分析、まとめ、プレゼンテーションまですべて生徒たちで行います。今注目されている協働学習、課題解決型学習(Project-Based Learning)という学習方法です。本校では20年前からこの手法を取り入れ、問題解決のための情報活用を実施してきました。

実績が証明する神大附属の情報教育力

ICT教育の最高峰、
全国中学高校Webコンテストの常連校。

全国中学高校Webコンテスト(旧Think Quest)は、3~6人でチームを作り、生徒たちが興味のあるテーマでWeb作品を作り競い合うコンテストです。神大附属は第1回目から毎年参加、毎年入賞を果たし、過去に3度、最優秀賞/文部科学大臣賞を受賞した実績があります。 このコンテストは、6ヶ月にわたって活動しWeb作品を完成させます。最終選考のプレゼンテーションを受けるためには、1次審査、2次審査、そして3次審査を通過し、英語版を完成させた上ではじめて決勝の舞台に立てるのです。
チャレンジしたいメンバーが集まり、チームを編成し毎日のように議論を重ねながらテーマを決め、構成を考え、スケジュールを立てて、やっと制作に入ります。HTML、CSSといったプログラミングやWebデザイン、画像編集、映像編集、アニメーションの作成などやるべきことが次から次へとでてきますが、それを最後までやり遂げたチームだけが栄冠を勝ち取る事ができます。 毎年中学生と高校生が30名程度参加し、5月に活動を始め、翌年2月の最終プレゼンテーションを目指します。

文部科学大臣賞/経済産業大臣賞を受賞した作品とプレゼンテーション

第14回ThinkQuest JAPAN 経済産業大臣賞「生活をつくる放射線」

http://webcon.japias.jp/presen/2012/140053.html
「生活をつくる放射線」

第13回ThinkQuest JAPAN 最優秀賞/文部科学大臣賞「インフォグラフィックス」

http://webcon.japias.jp/presen/2011/130294.html
「インフォグラフィックス」

第8回ThinkQuest JAPAN 最優秀賞/文部科学大臣賞「planetaria」

http://webcon.japias.jp/library/2005jwin/team80520-monb.html
「planetaria」

第6回ThinkQuest JAPAN 最優秀賞/文部科学大臣賞「音から始める♪初めての英語」

http://webcon.japias.jp/library/2002jwin/team50173.html
「planetaria」

プレゼンテーションの様子

プレゼンテーションの様子 1 プレゼンテーションの様子 2

宇宙エレベーターロボットで新記録達成競技会でも優勝

宇宙エレベーターとは、地上と約3万6,000km上空にある静止衛星とをつないだ1本のケーブルを伝って、宇宙まで人や物を運ぶ夢の乗り物です。
宇宙エレベーターという概念は、科学者やSFファンの間で古くから知られていたものの、ケーブルとして使える素材がないため、長い間夢物語と思われていました。しかし、1991年にカーボンナノチューブが日本で発見されて以来、議論が一気に加速し、実用化に向けた研究プロジェクトが国内外で動き出しました。
神大附属ではそんな宇宙エレベーターの実現に向けて、神奈川大学工学部と高大連携事業を立ち上げ、講義やワークショップを重ねながら研究を進めています。そして、レゴ社製プログラミングロボットのマインドストームを活用し、ミニチュア版の宇宙エレベーターを製作するプロジェクトに取り組んでおり、昇降実験や競技会への参加を行っています。

くすのき祭での昇降実験

2009年より宇宙エレベーター講座を開講し、専門家を招いての講演とレゴブロックで宇宙エレベーターロボットを作るワークショップを始めました。昇降実験は、2011年には50m上空に直径6mの気球を打ち上げ、3台のロボットが50mに到達し無事地上に帰還しました。2012年には60mに到達しています。
そして、2013年9月28日のくすのき祭では、過去4回目となる昇降実験を行い、昨年までの記録である60mを大きく上回る107メートル上空までたどり着き、新記録を達成しました。
ロボットに使った部品はすべてレゴマインドストームのパーツで、電源は乾電池6本の9Vのみです。

くすのき祭での昇降実験

第1回宇宙エレベーターロボット競技会

2013年11月23日には「第1回宇宙エレベーターロボット競技会」に参加しました。この大会は、中高生が宇宙エレベーターロボットを製作し、5m上空にある宇宙ステーションにピンポン球をいくつ運べるかを競うものです。
8校が参加する中「神奈川大学附属Bチーム」は、2位に22個差をつける49個のピンポン球を運び、見事優勝に輝きました。

第1回宇宙エレベーターロボット競技会

競技会の様子